高配当企業の代表であるアルトリア・グループのお話です。現在の私のポートフォリオの10%程度を占めています。生活必需品に該当します。同じセクターで同じく私が保有しているのはコカコーラです。
タバコ企業の株は高配当で儲かるし、みんな持っている?
アルトリアはマルボロを持つアメリカのタバコ企業です。余計な事業には手を出さず、現在はタバコとワインが少し事業として残っています。
タバコと言えば儲かってしょうがないイメージで、アルトリアも高い利益率、低い設備投資で大きく稼いでいます。設備投資や研究開発が少ないことから、キャッシュフローを見ると「美しい!」とか言われることもあるくらいです。そしてその利益が株主に還元されることから配当好きの投資家からは大人気です。またシーゲル教授の著書株式投資の未来ではリターンが1位の成績でした。ですのでアメリカ株に投資する日本人はアルトリア(MO)をはじめ、PMI、BATなどをかなりの確率で保有しています。
タバコを超える儲けの種?ジュールとクロノス
そんなアルトリアですが近年虎の子である紙巻タバコが電子タバコにおされる場面に出くわしています。従来の紙巻タバコは逓減しているのに電子タバコは若い人の支持もあり伸びています。そんな状況の中、電子タバコ分野への参入は遅れており、加熱式たばこIQOSもアメリカ国内での販売がうまくないです。経営陣が焦っているとは思いませんが、そんな状況の中、電子タバコメーカーのジュール・ラブズ(JUUL)に128億ドル出資しました。ジュール・ラブズはユニコーンと呼ばれる非上場の超有力企業です。
日本国内ではIQOS(アイコス)が人気だと思われますが、上の図は電子タバコの小売販売額の推移です。全体の伸びも大きいですが、その中でジュールの販売額が急激に伸びています。アメリカの若者の中で爆発的な人気があるのがジュールの電子タバコです。デザイン的にも優れたジュール(会社名ではなく、電子タバコの方)でSNSを積極的に使い、素晴らしいキャンペーンを展開していました。結果的に明るく格好良いイメージとともに若年層の支持を取り付けています。
アルトリアは割高と思ってもジュールを自社に取り込むことを選びました。ではジュールは何故出資を受け入れたか。これは多分FDA対策と思います。すでにFDAのコメントからも電子タバコへの規制が強まることが予想されています。従来のタバコ同様、この厳しくなる規制を上手にコントロールしていくことが重要で、アルトリアのノウハウに期待していると考えています。
ジュールをはじめとする電子タバコの依存性は非常に高く、子供の場合は数回の使用でニコチン中毒になる可能性があるとされています。そして衝動的、意欲の低下、認知障害の可能性も噂されており、FDAが注視する理由も分かります。
なぜ依存性がそんなにも高いのか?それはジュールをはじめとする電子タバコはニコチンソルトという紙巻タバコよりも吸収されやすいニコチンを含んでいます。今まではタバコ葉を加熱してましたが電子タバコはニコチンを含むリキッドやポッドを気化させて吸います。このリキッドは化学合成されるため、よりニコチン中毒になりやすいと言われています。タバコを一気に吸うとくらっとしますが、電子タバコにはそれがなく、より短時間で中毒化しかねないとも言われます。FDAがどこまでリスクと見ているか分かりませんが、有害な部分があまりにクローズアップされるとアルトリアにとっては高値掴みになりかねない大問題です。
もうひとつカナダの大麻企業、クロノスにも18億ドル出資しています。ジュールに比べると安いですが高めの買い物です。世界的にタバコが規制される中、解禁され始めているのがマリファナです。規制品の専門商社みたいになってますがアルトリアはここに入っていくのは必須と思いますので妥当な買収です。マリファナに関してはもう数件買収してもらいたいくらいですが、こんなこと書いてると死の商人みたいで嫌ですね。
買収資金は二社合わせて146億ドル。アルトリアはキャッシュマシーンですが、これだけの規模だとやはり不安はあります。今期も増配しましたが果たして財務に影響なしと言えるのか注視ですね。
まとめ フィリップモリスとの再統合もあるかも!
既に述べたとおり、著名なアメリカ株ブロガーさんがたいてい保有している人気銘柄です。私も当面はホールド、ポートフォリオの割合を見て場合によっては買い増ししていく予定です。過去のパフォーマンスが良いからこれからも良いと盲目的には信じていません。ジュールにしろクロノスにしろ、事業リスクというよりは訴訟、政治的なリスクが大きいように思います。儲かることも大切ですが、突然規制される可能性もゼロとは言えないのでニュースのチェックは大切ですね。ある日突然ジュールもクロノスも同時に規制されたらそのときはしゃーないです。
しゃーないなんて言っていたら、10年程前に分かれたフィリップモリス・インターナショナルとの再統合協議が進められているなんニュースが出てきました!確かにタバコメーカーは合併を繰り返して大きくなっています。こちらは元は同じ、果たしてどうなるのでしょうか。
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