[PFE]ファイザーとマイラン、ジェネリック薬品はどうなる?

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ファイザーが、後発品ビジネスを展開するアップジョン事業部門をスピンオフし、ジェネリック薬品大手であるマイランとの統合を行うとの報道が出ていました。
(11/28追記)これによりテバ・ファーマシューティカルズ・インダストリーズと並ぶ最大手の後発薬メーカーが誕生します。統合は来年2020年半ばに完了する予定で、新会社の会長にはマイラン会長のロバート・クーリー氏が、新会社のCEOにはファイザーのアップジョン部門の責任者を務めるマイケル・ゲトラー氏がそれぞれ就く予定です。

ファイザーがジェネリックを切り離したい理由を考えてみる

ジェネリックのスピンオフにより、ファイザーは先進医薬品に集中する形になります。

ファイザーは7月29日、後発品ビジネスを展開するアップジョン事業部門を、米マイランと統合し、新会社を設立すると発表した。新会社は、2020年の予想売上高は190~200億ドル。世界最大手の後発メーカーであるテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズと並び、最大手の後発品メーカーが誕生することになる。手続きは2020年半ばに完了する見通し。一方、ファイザーは19年初めにOTC事業部を切り離したことに加え、アップジョン事業部門を手放し、革新的新薬に集中し、ビジネスの成長にアクセルを ・・・

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メリットは、利益率の低いジェネリック部門が切り離されることでアナリストから見たファイザー株の財務面がよくなります。もちろんジェネリックに比較的多くの人員を配置していたという話もありますので、新会社に移籍してもらうことでリストラを進めることも出来るでしょう。

デメリットは、利益率は低いとはいえファイザーの売上の2割を占めるとも言われる部門がなくなることです。世界一を激しく争っていたファイザーにとって規模が失われます。そして投資家から見ると売上、利益ともに減少します。結果として現在の配当が維持できなくなる可能性があります。ちなみに有名なバイアグラはマイランと統合される新会社に移るようです。

現在下降中の株価はこのデメリット部分に焦点があたっているものと考えています。つまり規模の減少→利益の減少→配当の現象です。株価が下がったため現在の見た目の配当率は上がっています。が、ファイザー株の配当は3%程度と市場が判断しているとした場合、スピンオフ後に配当が減り、配当3%の株価まで先回りして下落している可能性があります。もちろん何%と市場が判断しているかは分かりませんし、別の理由で下落している可能性もあります。
正解は分かりませんが、現在の下落が落ちつくまでは様子を見ておきたいです。もちろんマイランとの新会社がどうなるのかもチェックしておく必要があります。株主としては新会社の株式がどう割り当てられるのか、また株式が割り当てられた場合、売るのかホールドするのかも考えないといけないですね。株式の分割は何度か経験ありますが、新会社の株式の割り当ては初めてです。割り当てられるとどうなるか手続き的に楽しみではあります。

ファイザーはなぜアップジョン部門を手放すことにしたのか?

ファイザーのアップジョン部門はエスタブリッシュ医薬品事業部門を発展的に改変したもので2019年1月1日に設立とごくごく最近です。アップジョン事業部門の取り扱い製品は、非感染性疾患(NCDs)領域の治療薬が主で、高コレステロール血症治療剤リピトール、ノルバスク、セレコックス、リリカなどがあり、以前に触れた通り男性用機能障害治療薬バイアグラも含みます。
こうしてみるとそれなりに需要のありそうな製品群を取り扱っているように思います。それでもこの事業部門を早い段階で見切ることにしたというのはそれだけの理由があったのでしょう。もっとも考えられる理由はやはり価格圧力が私たちが考える以上に大きいということなのではないでしょうか。事実マイランの今年の決算は低調で、株価も年初来30%以上下げています。会社の発表からも製造問題や競争に加えて、価格圧力を収益の低下理由に挙げています。(この場合は中国での価格圧力とも言われています)

ファイザーはその前年にも大衆薬を扱う事業をGSKとの合弁という形で本体から切り離すことを決断しています。ファイザーにとっては売上全体の1割未満とも言われた消費者向け事業ではありますが、これも広告費用がかさんだりするため利益があげにくいことが理由です。なおGSKも自社で持つ同部門と統合後、規模を大きくして別会社として切り離す計画のようです。
派手な高額買収で話題になる製薬会社ですが、研究開発費が膨大となりつづけている創薬に注力するため大衆薬事業は次々と切り離しているようです。残るのはP&Gやジョンソン&ジョンソンなどの超大手と各国に事業地盤を持つ有力な1社なんてことになるのかもしれません。

今回のファイザーのアップジョン部門は紆余曲折あったものの、大衆薬事業と同様、利益があげにくいという非常にシンプルな理由だったのかもしれません。

マイランはどう考えていたのか?

利益の上げにくいアップジョン部門を統合することになったマイランは、 主にジェネリック医薬品を扱う大手ではあります。 但し会社としては売上、収益ともに低迷しています。

ジェネリックを扱う大手としてはテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズが最大手です。売上高はざっと200億ドルほど、世界でも15位くらいで、日本国内でも3位前後とジェネリックが主体でありながら存在感のあるイスラエルの会社です。

マイランは今回ファイザーのアップジョン部門統合により、売上規模の予想は190億ドルから200億ドルと一気にこのテバに並ぶ企業が誕生することになります。当然規模を大きくすることで収益力を高める戦略なのだと思います。欧米の、特に製薬業界はやることが大胆ですよね。
この方針は一般的だとは思いますが、なかなか厳しいものもありそうです。現在最大手のテバもジェネリック薬の価格低下圧力への対応に苦慮しています。アメリカでは価格カルテルを組んだ疑いまでもたれているようですので、マイランの船出も厳しいものになるかもしれません。

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