ファイザーにロシュ、アッヴィ、ジョンソン&ジョンソンなど医薬品を取り扱う企業はたくさんあります。シーゲル教授の赤本でもヘルスケアセクターは高い評価を受けています。最近良く聞くバイオ薬品ってそもそもどんなものかご存知ですか?
売れてる薬はバイオ医薬品ばかり!?
ファイザーやジョンソン&ジョンソン、アッヴィの株は買っているのに、医薬品はあまり分からないってことありませんか?何となーくで来てしまった部分を少し整理しておきたいと思います。まずは医薬品別の売上ランキングを。
ヒュミラ、ぶっちぎりですね。この中の上位3つはバイオ薬品と言われるもの。それ以外にもレミケード、リツキサンにノーベル賞のオプジーボやキイトルーダもバイオですしノボラピッド、マゼセラ、ハーセプチン、アバスチン、ヒューマログ、ステラーラもそうです。4,5位は経口抗凝固薬なのですがどっちかわかりません。ご存知の方、ぜひ教えてください。
投資家目線でバイオ医薬品とは従来品とどう違うのか?
従来の薬もバイオ医薬品も化学反応を利用して作られています。
どちらも化学反応を元に作られるのですが、高分子薬品は遺伝子組換えなどを使います。「遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して開発製造されたタンパク質性医薬品、抗体医薬品」と定義されます。従来の薬は、「低分子医薬品」と呼ばれ、化学反応で開発製造されています。どちらも化合物なのですが、化学反応で製造されている「低分子医薬品」と比べると、「バイオ医薬品」は圧倒的に分子量が数千以上と多いのが特徴です。材料(?)となるのは生物由来の組織、細胞などです。タンパク質や抗体は、低分子化学品よりも大きな分子構造をもち、その分子量も二桁以上大きいです。従来の薬は少なく、境界は300-500程度と言われます。
バイオ医薬品は、薬効が高く副作用も少なく、適用できる病気の利用範囲も広いというメリットがあります。ただしこれまで主流であった低分子医薬品とは違って化学合成反応による大量生産が出来ないため、製造が難しく製造価格も高いという課題があります。バイオ医薬品の創薬は欧米メーカーが先行していて、これが理由で国内医薬品の輸入金額が年々増加傾向にあります。国内だとオプジーボくらいです。新剤開発の開発には低分子医薬品の1薬剤あたりの開発費用が100~300億円なのに対して、「バイオ医薬品」は数百億円から1千億円もの研究開発投資が必要と言われ、その高額化傾向に歯止めが掛かっていません。
今までの薬品 | バイオ医薬品 | |
製造方法 | 化学合成 | 細胞の培養 |
分子量 | 少ない(300-500程度が境界) | 多い |
製造コスト | 低い | 非常に高い |
薬価 | 比較的低い | 高い |
投資目線でのバイオ医薬品のメリットについてです。アッヴィのヒュミラはバイオ医薬品で、特許が切れ始めています。当然後発薬のターゲットとなりますが実はなかなかうまくいっていないようです。
まず生物由来にバイオテクノロジー技術を使って創薬されているため、従来の薬と比べ、特殊な細胞培養技術など高度な技術と高い製造設備がなければ生産できません。さらに生物由来であることで、その製法が異なる場合同じ成分と言い切れない点が出てくるからだそうです。つまり化学合成されることから有効成分の同一性確認をするジェネリックと違い、同一性の確認が難しいのです。ジェネリックでなくバイオシミラーという言い方をしますが、つまり似ている薬をってことになります。同じような効果が期待できる薬なのですが高分子薬品は薬効だけでなく副作用などその影響が判断しにくい部分があるそうです。結果として従来の後発薬よりも厳しい臨床試験が課されることになっているようです。 1薬剤当たり数十億円程度、従来の後発薬が2,3億円程度の臨床試験コストだったことからも“バイオ医薬品”の後発品開発は難しいと考えられます。 費用も時間もかかることからなかなか出てこない可能性もありますね。
ちなみにバイアグラは後発薬はすでにあります。これは男の夢だからかもしれません笑
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