[INTC]そろそろ変革が必要!?買収下手なインテルの目指すもの

投資全般
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台風19号がきてしまった三連休。ラグビー観戦以外は大した予定もないです。せっかくなので保有するIntel(INTC)の技術的な動向を調べてみることにしました。
株価は一時期より下げて最近は$50を行ったり来たり。ちょっとネガティブなニュースもあるので合わせて整理しておこうと思います。

我が家も大変でしたが幸い被害という被害はありませんでした。台風19号で被災された方には心よりお見舞い申し上げます。

AMDが迫ってきたインテルは落ち目なのか?

最近のニュースを整理していきます。まずはMPU、CPU分野から。

AMD CPUが量販店市場でシェア68.6%
【お詫びと訂正】初出時、AMD CPU搭載PCが量販店市場で68.6%のシェアを獲得という内容で掲載しておりましたが、データに取り違えがあり、実際はCPU単体のシェアにおいてAMDが68.6%であり、搭載PCの数値ではないことがわかりました。お詫びして訂正させていただきます。

いろいろなところで報道されていますが、AMDのRyzenが非常に素晴らしい仕上がりです。価格もAMDですので抑え目。IntelのCPUの供給不足も重なって、シェアを伸ばしています。四半期で見るとインテルがAMDに抜かれたとの報道もあるのでちょっとよろしくないです・・・。もちろんメーカーパソコンの搭載率はIntel有利ですし、このニュースひとつでAMDの勝ちとは言えません。ですがAMDが勢いづいているのは確かです。
ということで10nmにやっと目処が立ち、新CPUを発表したIntelは早速!

Intel、“半額”になった新「Core X」シリーズプロセッサ ~最大18コアで979ドル
 米Intelは2日(米国時間)、開発コードネーム“Cascade Lake-X”こと新Core Xシリーズプロセッサを発表した。

半額って今までどんだけぼったく・・・、いや利益率の高い商品を提供していたのか!(笑)
ただ半額って聞くとぼったくり的なイメージが出かねないですが、それだけAMDのRyzenを評価し、その対抗として打ち出しているのだと思います。ディープラーニングに特化したアクセラレータが加わったこともあり、破格のお値段になっていると思います。クリスマスシーズンに向けてどれだけ巻き返せるか注目です。

続いてメモリです。メモリはこの中ではポジティブです。先日記事にしたOptaneメモリが主役。

今までメモリ(容量小・高速)->HDD(容量大・低速)という順番でのデータアクセスだったのですが、これを高速化しようとしています。つまりメモリ (容量小・高速) ->Optane (容量中・中速) ->SSD (容量中・中速) ->HDD (容量大・低速) とし、より大きなデータを高速でアクセスすることが出来るメモリ構成を目標としているものです。中速って書きましたが、SSDはかなり速いですし、それより速いのがOptaneのはずです。現在はOptaneメモリ搭載機がDellやHPのサイトでも販売され、たぶん他メーカーでもオプションの形で取り付けできるようになっています。一般ユーザへの浸透も進みそうです。あとは既存パソコンへの後付けが現時点で出来ない部分をどうしていくのか。もちろん買い換えてくれた方が嬉しいでしょうけど、自作ユーザがCPU、チップセット、メモリとある程度ごそっと交換しなければいけません。伸びそうですけど技術的にも価格的にもどうなのか。私はOptane未体験ですが、かなり速いらしいです!

お次は、データセンター事業。Intelのドル箱事業で、現時点では優位を築いています。ただしこの事業分野はこれからレッドオーシャンと化す可能性を秘めています。
そもそもドル箱事業ということは利益の見込める事業なわけですからIntel以外も当然狙っています。分かりやすいところだと、AMD。そしてArm。AI向けでは、Nvidia。最近少し大人しくなった気がしていますが、グラフィック性能では当然ながらIntelより上手です。そして米中貿易戦争で話題のファーウェイ。こちらは最近Intelに喧嘩を売り始めていますね。
現在インテルが持つ優位性を先に挙げたメモリやFPGAなどで一層強化し、データセンター事業をより強固なものにしてもらいたいですね。あまり画期的ではないですけどこんなのは出ています。

IntelのoneAPI - CPU、GPU、FPGA、AIプロセサに共通のソフト開発環境を提供
Intelは10月4日、「インテル デベロッパー・カンファレンス/ソリューション・デイ 2019」を開催した。同社は4種類のプロセサを有しているが、異なる言語やツールを使ってのソフト開発はエンジニアの負担が大きいため、その解決策となる「oneAPIプロジェクト」が進められている。

サポートは大切です。ただ画期的かというと、ね。企業としてこういう姿勢は非常に大切です。たくさんのユーザに使っていただいてナンボですからね。多くのユーザがいれば、より有益なサービスがIntelのプラットフォーム上で生まれるわけですし。

AIとか自動運転など最近トーンダウンしている部分について。まず自動運転関連は傘下のモービルアイは拡大中。但し、全ての車に「Intel Inside」と出来るかはまだまだ不透明。Nvidiaをはじめ、ライバルも強力ですし、奮闘中といったところでしょうか。
AIは新プロセッサであるIce Lakeにディープラーニングに特化した機能が搭載されているように少しずつ前進中ではありますね。どこかでどん!と進展することを期待しましょう。

インテルのこれからを買収した企業から考えてみる!

インテルに限らず、IT関連とヘルスケアセクターは買収のニュースが多いです。買収は自社の機能・サービスの強化、新しい分野への参入、他社対抗などいろいろな理由で行われます。順番に並べてもどういう未来か正しく理解できることはありませんが、少しでも投資の役に立てば良いかなと思ってやってみました。実は以前マイクロソフトとヤフーでやったのですが、買収下手と言われるインテルはどうなるのでしょうか。

全部を網羅できているか分かりませんが、最近の買収案件です。

買収企業時期買収額
Barefoot networks2019年6月
Netspeed systems2018年9月
eASIC2018年7月
Mobileye2017年3月153億ドル
HERE2017年1月
Movidius2016年9月
Nervana2016年8月3.5億ドル
Altera2015年12月167億ドル

企業のM&A案件を調べるのはほんとめんどくさいですよね。今回は大まかな業界全体(?)の方向性を踏まえていこうと思います。

まずCPU業界として性能の向上に陰りが見えてきたこと。これはムーアの法則が揺らいでいることからも良く分かります。そしてそれを解決するために特定分野に特化した回路を設ける手法が挙げられていました。これは何でも出来るCPUのパフォーマンスを上げるよりも効率が良いと考えられます。もうひとつがGPUの急速な台頭。インテルが苦手としていたGPU分野がAI、自動運転、仮想通貨のマイニングなど特定領域で高い注目を集めていることがあります。このためGPU分野、フロンティアであるAI、自動運転などへの足がかりとして特化型の回路をインテルは求めていたんだと考えています。つまり最終的には自社CPUにAIや自動運転、GPUなどを組み合わせて広い意味でのCPUとして販売していくという未来を考えたのだと思います。これは現在チップレットという言葉で半導体業界全体のトレンドです。

それでは買収案件の整理です。まずインテルがFPGAと呼ばれる半導体へ参入を企んだAltera(アルテラ)の買収から見ていこうと思います。この半導体は回路をプログラムできる半導体です。
当たり前ですが、何でも出来るCPUより特定分野しか出来ないチップの方が特定分野では能力を発揮します。そして物理的な回路とプログラムで作った回路では前者の方が高効率です。但し、当然物理的な特化回路は融通が利きません。
インテルはAlteraを買収することでプログラムできる特化回路を167億ドルかけて入手。Alteraの売上規模を考えたら高い買い物です。ですが、CPUをサポートする特化回路を模索するためにはプログラム出来る特化回路(以後FPGA)を作ってきたAlteraは必要だったのだと思います。そしてAlteraは組み込み分野で存在感を発揮しており、この先に車載チップが見え隠れしていたのだと考えます。なおAlteraのライバル=現在のインテルのライバルはXilinxというやはりFPGAを扱う企業です。

続いてNervanaを3.5億ドルで買収。こちらはディープラーニングに特化したソフト、ハード両方を扱うスタートアップ企業。クラウドでディープラーニングを提供したりもしていたはずで、インテルのデータセンタ部門に加わってます。最新CPUの方でディープラーニングが取り上げられてましたが、AI関連の買収はデータセンター用途がメインなのでしょう。
さらにMovidius。こちらの買収額は不明。すでにGoogleやドローンのDJIなどと取引実績のあったディープラーニングやコンピュータビジョンの会社でした。ヘッドセットなんかはインテルのプロジェクトとしては破棄されてるかもしれないですが、やはりAIや自動運転に関連しそうな企業でした。
HEREは買収ではなく15%の出資。で、デジタルマップの会社。自動運転関連しか考えられないですよね。ちなみに自動翻訳するとHEREが「ここ」になってしまって読みづらい!

Altera買収以降は比較的小規模の会社がターゲットとなっていましたが、ここであのMobileyeを153億ドルで買収。いままでの積み重ねが上手くいかなかった可能性があります。当時としてはアイディアもユニークで車載カメラとして群を抜いていたと思います。これでインテルは自動運転分野の主要プレイヤーになりつつある感じでした。インテル傘下となってからもMobileyeの売上は順調に伸びており、株主としてはインテルの半導体技術とMobileyeの画像解析技術で自動運転分野におけるNvidiaのGPUを上回ってもらいたいところです。

さらにeASIC。こちらはFPGAよりさらに特化した半導体回路の会社。つまりCPU>FPGA>ASIC。回路は汎用的だがプログラムできるFPGA、これよりよりさらにすすんで設計どおりにしか動かない特化回路となる。CPUにつけるコプロセッサのためなのかな。社名に”e”がついているからというわけではないですが、一般的なASICよりもFPGA寄りです。ですので旧AlteraのFPGAを補完するという形でしょうか。

Netspeed systemsはSoC、システムオンチップの設計ツールやインターコネクトファブリックの会社。

???

これまでFPGAやらMovidius買収などで培ってきた特化回路のさらなる効率化と相互接続に関連する部分の強化ですね。
最後にBarefoot。これはネットワークの会社なのですがハードはそれほどではなくどちらかというとソフト。実はこの買収の少し前に同じくネットワークスイッチの会社をNvidiaが買収しています。もしかしたらNvidiaに先を越されたか、対抗しての買収かもしれません。ただ二社の中身はまったく違うのでほんとのところは分かりません。ただデータセンタでもCPUでも帯域が重視されてきているというのはあるかもしれません。どれほど機能が高速化しても接続部分が遅ければ遅くなってしまいますからね。

買収話のまとめ!

最近見てなかった専門用語が多くて、後半はかなりだれた感じが出てしまいましたが、AIと自動運転という強化方向、万能型のCPUとそれに加わる特化回路という設計の方向という大きな流れはぶれていないのかもしれません。じっくりニュースやら用語確認したりすると疲れますけど楽しいですね。もう少し詳しく買収企業の特徴まで調べられたら更新したいです。

ケラーが”チップレット”で作り上げようとし、AMDがRyzenで少し実現したり、インテル×AMDでCPUとGPUのワンパッケージを作ってみたりしたように、特化回路をブロック状に組み合わせてCPUが成立していくような未来になるのかもしれません。そしてそれを纏めるのはインテルのパッケージ技術かもしれないですね。

Intel、CPUやGPUを3次元積層する業界初の3Dパッケージング技術「Foveros」を発表、デモ
 米Intelは11日(現地時間)にIntelの共同創始者ロバート・ノイス氏のかつての私邸において記者会見を行ない、同社が開発している次世代CPUなどに採用される各種の技術を公開。Intelが開発してきた3Dダイスタッキング技術の「Foveros」を発表した。
回路を「3D化」するインテルの新技術が、半導体の進化の常識を覆す
論理回路を立体的に積層できる3Dパッケージング技術をインテルが発表した。まるでレゴのように機能を積み重ねていける新しい技術は、チップ設計の常識を根底から覆す可能性を秘めている。

今月の終わりには第三四半期決算が発表されると思います。米中貿易戦争もありますが、少しだけ期待して待ちたいと思います。それにしても9月末の〆日から1ヶ月もしないうちに公表されるのは早いですね。投資家にとっても早く分かるという点は有難いですが、日本企業は時間かかるのに何か秘訣があるんですかね。

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